俗にいうサラ金規制法ってどんな法律なの?何が規制されているのか

サラ金規制法という言葉は最近はサラ金と言う言葉自体があまり使われなくなってしまったので聞かなくなりましたが、そもそもこの法律は貸金業の規制等に関する法律と言い今では貸金業法と呼ばれています。

この法律はサラ金規制法と言う言葉に表されているようにサラ金のやり方を厳しく規制するための法律で、改正が有る度に、サラ金業者のやり方を縛る条項が次々と追加され、厳しい内容へと変わって来ています。

特に直近の改正では、総量規制やグレーゾーン金利の撤廃などの大変厳しい内容が盛り込まれて、殆どの貸金業者の経営を圧迫し、これが元になって今なお過払金の返還などで業者を締め付けることになっています。

サラ金規制法は正式には貸金業の規制等に関する法律と言う!

サラ金と言うのは銀行が担保や保証人が無ければ融資しない時代に、そういったものが無くても簡単な審査で融資する金融業者として生まれ利用者も多かったのですが、金利が高いという大きな問題が有りました。

このため利用者の中には利息が大きくなって返済に行き詰ってしまう人も多く、サラ金ではそういった人に対して厳しい取り立てを行って回収しようとしたため、一家心中に追い込まれるようなケースもあり社会問題になりました。

そこでこういったサラ金のやり方を規制するために制定されたのが貸金業の規制等に関する法律で、当時はサラ金規制法、現在では貸金業法と言われるものです。この法律は何回かの改正が行われ、その度に規制が厳しくなってきています。

サラ金は高金利で厳しい取り立てを行っていた

サラ金と言うのはサラリーマン金融を略したものですが、最近では消費者金融と言う名前が広く使われているため、あまり聞かなくなりました。実はサラ金から消費者金融に名前が変わったことがサラ金規制法にも大きくかかわっています。

サラ金と言うのは銀行の融資が保証人や担保が必要で、なかなか借入れできないという人が多かったことから、保証人無し、担保無しでも融資する業者として登場してきたもので、当初は誰にでも借入れできたことから歓迎されていました。

しかしサラ金の利益と言うのは銀行から融資を受けてそれを銀行より高い金利で貸して利息の差分から得ていたため、大きな利益を上げるためには、金利を高くする必要が有り、サラ金のローンは大変高金利でした。

つまり支払わなければならない利息は非常に高額になってしまい、返済に支障が出ることもしばしば見られました。そうなるとサラ金は取り立てを始めることになり、厳しい取り立てが行われました。

しかも当時の金融業者は殆どが何らかの形で裏組織との付き合いが有り、取り立てにはそういった組織の人間が動員されることも有ったため、酷い場合には一家心中に追い込まれる場合もあったのです。

サラ金が社会問題となり法的規制が行われることになった

こういった経緯も有ってサラ金と言うのは社会の敵のような位置づけになってしまい、社会問題として扱われ、業界自体に網をかけるように俗にサラ金規制法と言われる貸金業の規制等に関する法律が1983年に施行されます。

サラ金はこういった状況に至って怖い存在と言うイメージが出来上がってしまい、利用者数も低迷するようになって、根本的にやり方を改めない限り生き残れないということを悟って、以後サラ金のイメージ払拭を目指すことになります。

そこでそもそもサラ金と言っていては利用者は来なくなってしまっているので、以後消費者金融と言う名称を利用するようになったというわけです。今でも消費者金融はサラ金と言う表現を嫌います。

サラ金規制法は改正の度に厳しくなって行く

しかしこういったサラ金規制法ができたとはいえ、規制が厳しくなったことから借入れができない人もいて、そういった人向けに法律を無視して融資する闇金も出現するようになってしまい、そのような業者は昔ながらの商売をしています。

このように法律無視の業者も厳しく取り締まるために、サラ金規制法は何度か改正され、その度に厳しい規制が加わることになり、闇金もかなり厳しい時代を迎えることになります。

しかしこういった規制は更にそれをかいくぐる方法を考えて悪どい貸付を行うような闇金が出現してきます。要するにこういうものはそれを利用する人がいる限り、そこで利益を得ようとする業者が現れてくるのです。

ですから今後もこの法律は更に規制を厳しくするような方向で改正が繰り返される可能性が有ります。

サラ金と裏組織のつながり
本文でも触れていますがサラ金と裏組織と言うのはどこかでつながっています。要するにお金が動き利益が上がるのであれば、そこには裏組織が近付いてくるわけです。こういった貸金業はこういった裏組織の隠れ蓑になっている場合も有ります。

裏組織はなかなか表に出ては来れませんから、外目にはまっとうな商売をする会社組織に見せかけていても、実際には裏組織の人間が社長をしていたりするサラ金は非常に多かったはずです。

現在では法的な縛りもきつくなってきていて、裏組織の人間が直接消費者金融の経営者になっている様な事は無くなっていても、関係は続いています。

大手消費者金融の場合には上場を経ていますから関係は切れていますが、その他の中小業者は今でも何らかの関係を持っている可能性が高いのです。

直近の改正が貸金業者を追い込んだ?当時の貸金業者の半数が消えた!

この法律の直近の改正は特に規制が強化され、総量規制やグレーゾーン金利の撤廃が盛り込まれ、融資するにはそれなりの収入が伴わなければ融資できなくなり、しかも金利も非常に低く抑えられることになりました。

サラ金改め消費者金融のほうはそれまでのようにたとえ収入が無くても資産状況などで融資していたようなこともできなくなり、しかも金利も低くなってしまって利息からの収入も少なくなったため、商売がきびしくなりました。

こういった経緯で、当時の消費者金融は大手から中小までほとんどの業者の経営が傾いてしまい、半数の業者が消えて、残った業者も厳しい状況が続いて、大手業者の多くが銀行の支援を受けることになりました。

直近の改正では何が行われたのか

このサラ金規正法は最近では業者自体がサラ金と言う言葉を使わなくなってしまったので、以後俗に貸金規制法とか貸金業法とか呼ばれていましたが、2006年に改正され2007年に施行されてからは正式に貸金業法と言う名称になりました。

ではこの時に行われた改正では何が行われたのでしょうか。改正点はいろいろとありましたが、利用者に特に関係するのは次の2点です。

  • 総量規制
  • グレーゾーン金利の撤廃
総量規制と言うのは、それまで資産状況さえ十分であれば収入が無かったとしても融資していたものを、原則として年収の3分の1までしか融資できないということにした規定です。

この規定により、学生専業主婦はなかなか借り入れが難しくなりました。

この規定が設けられた1つの理由になったのが、それまで融資したお金をパチンコや買い物に浪費してしまう依存症になる主婦が多かったことから、実際に収入が無ければ融資できないという事にしたものです。

グレーゾーン金利と言うのはそれまで上限金利を定めた法律が利息制限法と出資法の2つあったことが問題を引き起こしたことで、グレーと言う表現を生みました。

この2つの食い違いからこの両者の間の金利がグレーゾーン金利と言われ、当然業者側は高い規定になっている出資法を根拠にし、利用者側は低いほうの利息制限法を根拠にして多数の裁判が戦われていました。

この改正では貸金業では利息制限法を適用するということがはっきり規定されました。

貸金業者は商売がやりにくくなり利用者は銀行に流れた

この改正で貸金業者は総量規制で大きな融資ができなくなったことに加え、高い金利が付けられなくなってしまって、思うような融資ができなくなってしまいました。

そしてこの時点の少し前には銀行がカードローンに参入したのです。要するに銀行でも担保無し、保証人無しの融資が受けられることになったわけです。銀行と消費者金融のどちらから借りるかと言われれば多くが銀行に流れてしまいます。

このため消費者金融はこの改正が追い打ちになり、さらに利用者を減らしていくことになってしまいます。

消費者金融の数は多いですが、それ以上に銀行の数は多く、それぞれがカードローンを始めたので、無担保ローンの主役は銀行に移ったわけです。

結局貸金業者の大半は経営が傾いてしまった

こういった経緯が有り、消費者金融は商売がやりにくくなってしまい、大手から中小零細迄ほとんどの業者の経営が傾くことになりました。

そしてそのうちの約半数が今ではなくなってしまったと言われています。

大手の中でも当時はコマーシャルを盛んに流していたような業者が、今では国内から消えてしまいました。今残っている大手の中でも未だに経営再建中と言うところも有るので、この時の衝撃と言うものの大きさが分ります。

中小零細の場合には、消えてしまったとしても、すぐに金融業者というものは出てきますので、世代交代が進みますが、いまから出てくる業者と言うのは、こういった厳しい経営環境を強いられることになるのを覚悟しなければなりません。

銀行は大手消費者金融を潰せない
本文で説明しているように、現在の消費者金融の置かれた状況と言うのはかなり厳しい状況で、一歩間違うと消えてしまうような不安定さも有ります。しかし消費者金融に消えてもらっては困る業界が有ります。それは銀行業界です。

銀行はカードローンを始めるにあたって消費者金融と提携しました。その理由は銀行はそれまで無担保、保証人無しでの融資をしたことが無かったため、信用保証業務のノウハウを持っておらず、それを消費者金融に補ってもらったわけです。

このため業績が傾いて、消えてもらっては銀行としてもカードローンが維持できず困ったことになるのです。そこで今残っている大手消費者金融の多くはこの時に銀行から資本が注入され、銀行の系列に入ることになり延命しました。

新たな問題として過払金が発生!利用者には朗報だが業者は苦慮

しかもこの改正で行われたグレーゾーン金利の撤廃は過払金という新たな問題を発生させることになってしまいました。これはグレーゾーン金利の発生でそれまで余分に利息を払っていたことになって返還請求ができるようになったものです。

もしかつて消費者金融を利用していた場合には、再度利息を計算して余分な支払いが有った場合には、利用していた消費者金融に対して、過払になっている分の利息を返還してもらうことができますから、一度見直してみてください。

ただし業者のほうはそれでなくても商売がやりにくくなって、経営が傾いているものですから、返還はなるべく少なくしようといろいろと理屈をつけて減額しようとしてきますので注意して交渉しなければなりません。

グレーゾーン金利の撤廃が新たな問題を生んだ

先ほど説明したように、多くの裁判沙汰まで起こしてしまったグレーゾーン金利は撤廃されました。しかしそれが新たな問題を生むことになりました。問題はずっと消費者金融の金利はどちらの法律が適用されるのかと言う点でした。

それが利息制限法が正しいとされたわけで、それまで出資法に基づいた高金利を適用していたのは誤りであるということになった訳です。ということはそれまで消費者金融は利息を取り過ぎていたということになります。

取り過ぎていたものは返さなければなりません。つまり利用者側から言えば見れば払い過ぎた利息を取戻すことができるようになったわけです。

これが現在でも続いている問題の過払金と言うもので、返還を要求することができます。

消費者金融はこの過払金の返還も経営体力を消耗する大きな要因になっています。

どうやって過払金を返して貰えばよいのか

ではどうすれば過払金を返金してもらえるのでしょうか。それは次のような手順で行います。

利用状況の確認

 ↓

利息の再計算と返還額の計算

 ↓

過払金返還請求

 ↓

業者との交渉

利用状況は利用していた消費者金融に問い合わせれば教えてもらえます。利息と返還額の計算はインターネット上にそういった計算をするためのEXCELシート等がアップされているので、それを利用すれば自分で計算できます。

あとは消費者金融に対して過払金返還請求をして、業者との交渉ということになります。

もちろん自分で交渉するのは面倒とか自分だけでは不安と言う場合には弁護士などに依頼すればやってもらえます。ただし弁護士には報酬の支払いが必要ですから、どの程度の返還額が有るのかを見越して依頼しなければなりません。

業者のほうはなるべく返還金を少なくしようとする

ただし、最後の返還交渉はそう簡単には行きません。

先ほど説明したように、消費者金融は現在経営状態が非常に悪く、あまり余裕はないのです。したがって過払金の返還にも何かにつけて理由を付けて減額しようとしてきます。

もちろん実際に支払っているわけですから、交渉すれば全額の返還も見込めますが、それにはかなりの長期間を覚悟しなければなりません。

要するに時間をかけて全額の返還をしてもらうか、時間をかけず減額された金額で妥協するかということになります。

こういった対応は消費者金融によって違っており、例えば銀行の資本が入って経営が安定しているような大手消費者金融の場合には、すぐに満額の返還をしてくれる可能性はあります。

しかし既に無くなってしまって、債権だけを別会社が買い取っているような場合には、なかなか返還には応じてもらえないでしょう。

過払金にも時効が有る
過払金の返還請求を勧めるコマーシャルなども毎日のように見かけますが、実はこの過払金にも時効が有って、この期間が経過してしまうと、返還してもらうのはかなり難しくなってしまうので注意しなければなりません。

時効までの期間は最後に返済をしてから10年ということになります。このため過払金を請求する場合には、自分がいつごろ借入れしたのかをよく思い出さなければなりません。時効前に必ず返還請求してください。

以前テレビのコマーシャルで過払金請求についての最高裁判決から10年で時効というような非常に分かりにくく、聞き方によっては間違いを招くような事を言っていましたが、判決と時効は関係ありません。

あくまで自分の最終返済から10年ですから間違わないようにして下さい。

貸金業者の生き残り戦略とは?銀行への対抗手段を打ち出す必要が有る

このような貸金業法下にあってさらに銀行のカードローンが軌道に乗り、無担保で保証人無しの融資でも銀行が主役になってしまい、消費者金融はかつての役割を失ってしまうことになり、利用者確保に四苦八苦する状態です。

このような状況では、消費者金融は何らかの特徴を出して、利用者の注目を浴びる様なローンを提供する必要が有ります。大手消費者金融などでは銀行との提携によって新たな収入源として保証業務を広く請け負ったりしています。

この新たな利用者確保のために消費者金融が出してきた特徴の一つがブラック対応です。以前の金融取引の問題で通常なら融資が受けられないような人に融資をするというもので、既に多くの消費者金融が参入しています。

いまやカードローンは銀行の金融商品になってしまった

サラ金は消費者金融になって、カードを使って借りては返すという融資方法を実現して、現在のカードローンの仕掛けを提供し、銀行はそれを元にしてカードローンの提供を始めました。

そして貸金業法によって消費者金融の経営が傾いてしまったために、いまやカードローンの主役は銀行に移ることになりました。

消費者金融はもう少しやり方を考えるべきだったのでしょうが、すでにこれまでのやり方では事業の拡大は難しいでしょう。

今後カードローンの分野では銀行の審査に通らないような少々信用が低い人を受け入れる金融機関として住み分けをし、銀行のカードローンの信用保証業務を受け持つというような業務で利益を出していくようになるでしょう。

消費者金融はどのようにして生き残ればよいのか

ただし、そういうことができるのはやはり大手消費者金融だけで、他の中小消費者金融には厳しい状態が続くものと考えられます。従来と同じようなことをしていたら、そのうち事業継続は難しくなるかもしれません。

しかしこういった消費者金融でも利用者を増やしているところも有ります。消費者金融は生き残りのためにこういった消費者金融を参考にしなければならないでしょう。

こういった利用者を増やしている消費者金融と言うのは、利用者を呼び込むために、他の業者には無いような特徴を出すことに成功しています。そうすれば利用者はその業者に来なければならなくなるということです。

ただし同じことをやっても注目は浴びませんから、できるだけ独自のものを考えなければなりません。これからは消費者金融も創意工夫が必要な時代になるのです。

ブラック対応は貸金業者の生き残り戦略の一つ

こういった特徴と言う物の中で、多くの成功例が有るのがブラック対応と言うものです。

要するにブラックの人でも返済能力さえあれば融資するという審査基準を持っている業者で、それまでにはなかった特徴と言えるでしょう。

もちろんこういった業者も、ブラックの人に貸すのはリスクが大きいということは分かっているので、審査は行っていて、誰にでも貸すということではありません。ですから誰でも借りられるというように安易に考えていてはいけません。

現在では、こういった業者の成功を見て、ブラック対応を打ち出す消費者金融が増えていて、既に消費者金融の分類の1つと言えるほどになっています。

しかしあまり増えすぎると利用者の奪い合いになりますから。これから参入しようと思っている業者は新たな戦略を練るべきでしょう。

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