返済が終わらない!サラ金地獄になったら自己破産した方が良い?
サラ金(現在の消費者金融)で借金したお金が返済できない状態に陥ることを通称「サラ金地獄」といいます。
一度でもサラ金地獄に落ちてしまうと、借金が膨れ上がり続け、個人での完済が極めて困難になるケースが多いです。
今回は、そんな怖いサラ金地獄に万が一なってしまったときに、どのようにして再起を図るべきなのかを解説していきます。安易に自己破産という選択を取らないようにすることも、知っておくべきポイントになるでしょう。
こんな借り方は要注意!借金が返せなくなる展開とは
借金をする理由としては、大きく分けて2つあります。1つ目は「生活費補填」で、暮らしていく上で必須の出費を賄うケース、2つ目は「自由出費」で、生きていく上で必須ではない物のために借り入れをする(欲しいものを買ったり旅行費用にあてたりなどの遊行費)ケースです。
毎月の収入と生活費のバランスが取れていないためにこうした事態になっていることが大半で、生活水準を下げるか、すでに最低限度の水準の場合は、サラ金を利用するのではなく生活保護などを利用すべき案件です。もちろん、働けるのであれば自活できるだけの収入を確保しなくてはいけません。
生活費関連で借金をすると、毎月借金が膨れ上がっていく状態になります。さらに、金利がついて返済する余裕もどんどんなくなり、借金を返すために別の場所からさらに借金することになり、最終的に多重債務になります。
サラ金地獄という通称ですが、正確には多重債務に近い状態になることが大半であり、こうなってしまうと債務整理による解決しか現実的な対処法がなくなってしまいます。
毎月の返済で元金がほとんど減らない状態は非常に危険で、毎月借金がどの程度返済出来ているかを正確に把握するのは、借り入れしている者の義務だと知っておきましょう。
欲しい物を買うために借金をする人は、余程の浪費家でない限り、サラ金地獄と言えるほどの状態まで追い込まれることはありません。ごくまれに、ストレス発散の手段として衝動買いをする人がいます。こうした自覚がある場合は、カウンセリングなどで、浪費行動自体をやめられるように対処しましょう。
自分が自由にできるお金以上に買い物などでお金を使ってしまう人は、カードローンなどは契約しないようにすべきです。カードローンは銀行からお金を引き出す行為と手順が非常によく似ているため、「借金をした」という意識を持ちにくい方法と考えられています。
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借り入れの手軽さとサラ金地獄との関係はあるのか
銀行に行って、カードをATMに挿入し、暗証番号を入れて、引き出したい金額を入力する。これだけ書くと、銀行の預金引き出しかカードローンの利用か判断がつかないと思います。それだけこの2つの行為は似通っています。ここに、サラ金地獄になる最初の罠が隠されています。
預金を下ろすのと同じ感覚で、カードローンでお金を借りることが出来てしまう、言い換えれば、現代の借金は利用者に「借金をしている」という意識が限りなく希薄になりがちであるということなのです。
かつてサラ金と呼ばれていたころは、貸金業者から借金をしていることが後ろめたいという印象がありました。それは、サラ金のイメージが悪かったというのも原因としてありましたが、そもそもの話として「企業から借金をする」という行為自体が、大衆に受け入れられていなかったという社会的な背景があります。
貸金業者としてはうれしくない状態でしたが、利用する人々の危機感覚は現代よりも高かったのは事実でしょう。しかし、サラ金から消費者金融、借金からカードローンという言葉の変化に伴い、借り入れするという行為は後ろめたさを払拭するとともに、誰でも気軽に利用できる「サービス」へと変化しました。
多重債務になる展開の一歩目は、この「簡単に借り入れできる」という最初の抵抗感の少なさに起因しています。「簡単に借り入れできるんだから、返済も手軽そう」という安易な考えで利用する人が増えたため、金利が以前ほど暴利でなくなった今でも、サラ金地獄という言葉が残っているのです。
審査が簡略化して、収入さえ証明できれば担保も保証人も必要なく、誰でも気軽に借り入れを活用できるカードローンやフリーローン。
貸金業者はたくさんの人に広く融資が出来て、金利収益も増えて助かる、利用者もサラ金と言われていた以前ほど社会的な悪いイメージを持たれることが無く借り入れでき、お金が必要な時にサッと調達できて便利、まさに「win-win」な状態ではないのかと考える人もいるでしょう。
確かに一面ではそれも事実です。カードローンなどの現在の借金システムが、利用者の選択の幅を広げ、消費行動を促進するとともに、生活を支えるカギとなっていることは間違いありません。
次に自己破産の内容とともに解説しますが、闇金は見るべきところを見れば確実に見分けられます。借り入れをする場合は、本来それほど慎重にならなくてはいけないのです。
借金自体はなくならない?自己破産の正しい知識
「借金で生活がどうしようもなくなったら自己破産をしてやり直そう」、こうした考えを持っている人はどのくらいいるでしょうか。まるで自己破産をすれば、今までのことを全て水に流して身綺麗になれるとでも言わんばかりです。
さすがにここまで都合がいいことを考えている人は少ないでしょうが、借金を解決する最終手段として自己破産を捉えている人はかなりの数いるのではないかと思います。
自己破産が完了しても借金自体が消えてなくなることはなく、あくまで「返済義務」が免除される(免責)だけであり、借金の種類や内容によっては、自己破産が出来ないものがあるということを必ず知っておきましょう。
お金を貸している側からすると、自己破産をされれば、そのお金の回収は不可能になり、実質上「踏み倒し」をされたのと同じことになります。債権者(お金を貸している側)は債務者に対して返済を求めることは出来ませんが、その借金は半永久的に残った状態になります。
何が言いたいかというと、たとえ自己破産によって免責となったとしても、その時点で借金があった相手は、金輪際、同じ相手に融資をすることはないということです。債権側としては言ってみれば、「今回は自己破産で逃げられたが、もうお前の名前は覚えたぞ。二度と利用させない」という印象を持つことになります。
実際、自己破産をした相手は貸金業者個別のブラックリストに永久保存され、二度とその業者から借り入れすることは出来なくなります。たとえ信用情報機関で7年経って自己破産の記録が消えても、借金を踏み倒された業者は一生忘れないのです。
自己破産は、他の債務整理と異なり、「返済する」という行為自体を行いません。効果も絶大ですが、デメリットも他の債務整理の比ではありません。可能であれば、自己破産以外の方法で借金を無くすようにすべきなのです。
自己破産が認められない債務の種類とは
「自分がした借金の種類によっては、自己破産を申請しても許可が降りずに、一生借金を抱えて生きていくことになる」かもしれません。
どんな借金でも自己破産さえすればすべて帳消しにできると思っていると、最終的にえらいことになりますので、このことは自己破産の前提として必ず理解しておきましょう。
自己破産が認められない債務の種類のことを「免責不許可事由」といい、これに該当する借金が原因で自己破産を申請しても、裁判所から認められずに免責とならず、自己破産失敗となるケースがあります。
特に注意しなくてはいけないのが、次に挙げる免責不許可事由です。
- 本人の返済態度が不誠実だと裁判所に判断された場合
- 多額の債務の理由に妥当性が見られない場合
- 財産を不正に移動または贈与していた場合
どれもこれも抽象的な内容に思えますが、実際問題として、自己破産が認められないのは、大きく分けて2つの原因であることが殆どです。
1つが、「自己破産をしなくても返済可能だと判断される」ケースです。自己破産が妥当だと判断される債務額はどの程度なのがという問題ですが、原則的に、「家計の可処分所得を全て債務返済に充てたと仮定したとき、債務総額の利息を無視して3年で完済できるかどうか」が判断基準として一般的だと言われています。
例えば、家庭の可処分所得が10万円の家があるとすると、現在の借金の総額が360万円までであれば、自己破産をする必要が無いと判断され、免責不許可になる可能性が高いとされています。参考にされるのは、収入から生活費を差し引いた可処分所得です。
もう1つの理由が自己破産を申請した者の「誠実さ」です。あいまいな表現ですが、こうとしか言いようがなく、返済しようとする姿勢が認められ、かつ経済的に返済が困難であると認められるかどうかが重要なのです。
誠実さについては、次で詳しく解説していきます。
ギャンブルの借金でも自己破産できる?自己破産者の誠実さとは
自己破産を中途半端に知っている人の勘違いで多いのが、「ギャンブルや浪費で出来た借金だと自己破産できない」、「資産運用で大損した借金は自己破産の対象にならない」といったものです。
ギャンブルでした借金であっても、実際に裁判官が妥当性を認めて免責になったケースも多々存在します。自己破産の民事裁判の際に、債務者の態度、反省の姿勢、これからの行動への酌量などを考慮して、免責が下りるのが自己破産の特徴です。これを「裁量免責」といい、自己破産者の大半は、この裁量免責のおかげで許可が出ています。
多重債務になったが、本人に反省の意思が十分にあり、現時点で資産を管理している姿勢を見せれば(家計簿など)どんな理由であれ自己破産できる可能性が残っています。
しかし逆に言えば、こうした本人の誠実な姿勢が見られないと、自己破産は許可されないとも言えます。見かけだけ誠実にしてもだめで、裁判時に虚偽の説明をすることはもちろん、処分できる財産があるのに「無い」と嘘を吐いたり、事前に友人や親族に資産を受け渡す行為なども発覚すれば不誠実となり、免責が下りなくなります。
ギャンブルや資産運用の失敗などの妥当性が低い事情によって自己破産を申請する場合は、やむを得ない事情(生活の困窮や病気や怪我による資金難)に比べて、免責になるため求められる誠実さが非常に高くなります。
結論として、サラ金地獄と言われる多重債務の理由で、免責が不許可になることはほとんど無いと言ってもいいでしょう。本人が働いており、返済の姿勢を見せているのも関わらず3年以内に完済が不可能であること、自己破産手続き内において、不正行為が無く、申請に虚偽が無いことを満たせば、自己破産自体は高確率で可能になります。
安易な自己破産の選択はやめよう!自己破産後のデメリット
免責になればすべての借金を返さなくてよくなる自己破産ですが、そのペナルティも非常に重くなります。
自己破産をする場合、処分する資産は生活必需品を除く大半となり、個人的な嗜好品などもすべて売却する覚悟が必要です。現金などの20万円以上あれば余剰分はすべて没収されますし、有価証券類もすべて売却されます。
これから値上がりしそうな株や社債だと主張しても、問答無用で処分されてしまいます。自己破産後、特定の職業(弁護士や司法書士など)には一生就けません。
また、企業の役員職は即座に辞することになります。自己破産後7年から10年はクレジットカードを作ることも利用することもできません。
自己破産後一定期間は分割払いの一切が出来なくなります。カードローンなどの借り入れ、住宅ローン、マイカーローンなどのローン契約ですべて審査に弾かれるようになります。
先述したように、免責によって踏み倒した貸金業者は永久ブラックリストに載り、今後一切の取引が出来なくなります。
こうしたデメリットがあるのが自己破産の特徴です。それぞれ非常に厳しいペナルティであり、人によっては、今後の生活で大変な不便をすることになることも考えられるので、自己破産をする際は、免責後にどのような生活に変化するのかを考えておくべきです。
サラ金地獄で自己破産と他の債務整理のどちらを選ぶべきか?
債務整理をよく知らないと、「多重債務になる=自己破産をする」と短絡的に考えてしまいがちですが、借金の程度や返済の可能性などを総合的に判断した時に、自己破産をした方が良いというケースは、思ったより多くないものです。
一見すると、とても返済できなさそうであっても、即座に自己破産を申請するのではなく、税理士や弁護士に依頼をして、自己破産以外の方法で多重債務を解決する方法を探す努力を忘れずにしましょう。
何度も言いますが、自己破産はあくまで最後の手段です。他に何も手が無いというほど追い込まれたときに、初めて自己破産をするという選択肢を取るべきなのです。
最後に、自己破産をしてから7年間は、どんな理由があっても再度自己破産をすることが出来ません。借金が帳消しになったと喜んで、羽目を外すことだけは絶対にやめましょう。