銀行か消費者金融か?サラ金をまとめる賢い利用先の選び方

「おまとめローンで金利を減らそう!」、こういった宣伝を聞いたことがある人はたくさんいるのではないでしょうか。

複数のサラ金から借り入れがあると、それぞれに返済しなくてはいけないため、1ヵ月当たりの負担も大きく、管理も煩雑になって面倒です。しかも、延滞のようなトラブルに陥る危険性も高く、利用者の信用も、「あちこちから借金をしていてリスクが高い人」という評価をされてしまいます。

これを解決できるのが、複数の借金を統一できる借金の一本化、通称「借り換え・おまとめローン」なのです。今回は、このおまとめローンの賢い使い方と、適切な利用先の選び方について解説していきます。

便利だけど審査が厳しい?おまとめローンの長所と短所

複数の借金を1つにまとめるというのは、利用者側にとっては非常に有効な債務管理方法です。管理をしやすくなり、利用額が大きくなることによる金利の減少を見込めるうえ、毎月の負担額を大きく減らすことが出来るためです。

おまとめローンをする場合、まとめ先では債務がかなり高額になる関係上、その審査は通常の借り入れ契約時に比べて、非常に厳しくなります。

なぜなら、新たに契約する業者にとって、複数の他の貸金業者の債務を一手に引き受けることになるのです。利用者はあちこちから借金をしていたような人です。しかも、審査の段階では、その人の信用は不明である以上、確実に返済が出来そうだと判断しない限り、債務の一本化などリスクが高くて出来ないのです。

しかし、貸金業者にとっても損な話ばかりではありません。おまとめローンは、通常の契約者に比べて融資額は非常に大きくなると同時に、返済期間もそれに相応しく長期に及びます。

返済期間が長くなれば、その分、金利による利益も大きく見込めることになります。したがって、取引相手としては、ハイリスクハイリターンになるということです。ですから、利用者としては、問題なく返済が出来るということを証明出来れば、貸金業者としては、むしろ喜んで契約してくれるというわけです。

おまとめローン審査はどの程度の返済能力が求められるのか

通常の借り入れで100万円の借り入れを希望するのと、おまとめローンで合計100万円の債務を一本化するのでは、利用者に求められる信用はどの程度差があるのでしょうか。

前者では、利用限度額が100万円を超えればいいわけです。消費者金融では、総量規制によって年収の3分の1を超える借り入れが認められないので、年収は最低でも300万円以上、かつ正規雇用者であること(非正規の場合は信頼を補うため年収額の上乗せが必要)、勤続年数は最低でも2年は欲しいです。

借金を一本化するおまとめローンは、消費者金融であっても総量規制の対象にならないため、銀行と消費者金融の債務を、年収の3分の1を超えて消費者金融にまとめるといったことも可能になります。

後者では、年収の額よりも、返済が継続的に可能であることの方が重要視されます。具体的には、非正規雇用者だと契約は極めて困難になり、勤続年数もできれば5年以上が望ましいです。おまとめローンでは、貸金業者側が「より安定した収入がある相手」との契約を望む傾向が強いということを覚えておきましょう。

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債務をまとめる利用先は銀行と消費者金融のどちらがいいの?

複数の債務をまとめる先はどこにするべきか。これが、おそらく多くの人が気になる点だと思います。

この問題は、一概にどちらが得という答えはありません。利用者の債務合計や収入や労働形態によって、その一人一人に適切な候補があるからです。

なので、ここでは大まかな選び方と銀行と消費者金融それぞれにどういった特徴があるのかを解説していきます。銀行と消費者金融、大手と中堅中小のそれぞれの組み合わせ4通りの中で、自分がどこを利用するのが良いのかを見つけられるようになりましょう。

どの利用先を選ぶことになっても共通して言えるのは、おまとめローンを契約したらその貸金業者とは長い付き合いになりますので、いざというときに店舗に行けるように、あまりに距離が遠い金融業者を選ぶことは避けるべきだということだけです。

それぞれの特徴をよく理解した上で、普段の行動範囲から無理なくアクセスできる範囲内にある貸金業者を当たってみることを勧めます。

利用先の具体的な選び方とそれぞれの特色を知ろう!

おまとめローンをするときにまず選択するのは、銀行にするか消費者金融にするかということです。先述しましたが、おまとめローンにおいては、総量規制は対象外になります。「債務の合計が年収の3分の1以上になるから消費者金融は選べないな」という心配は不要です。

消費者金融と銀行のおまとめローンの最大の違いは、融資できる限度額の大きさにあります。

消費者金融おまとめローンは、通常300万円、多くても500万円までしか統合することが出来ない業者がほとんどです。一方、銀行のおまとめローンの最大額は非常に大きく、平均して最高1000万円、多い銀行では、なんと5000万円(不動産担保あり)までまとめることが出来ます。

当然、金額が大きくなればその分審査も厳しくなりますが、金利が大きく下がるので、高額な債務があってそれを一本化したいという場合は、銀行を活用するのが望ましいと考えられています。

消費者金融を選ぶメリットは、銀行のおまとめローンよりも断然審査が緩いということです。銀行の場合、非正規雇用者がおまとめローンを利用するのは不可能に近いと言われるほど、収入の安定性の基準が高いです。消費者金融であれば、金額によっては非正規雇用者であっても、おまとめローンを利用することが出来ます。

これらのことから、利用選択の大まかな区分けとしては、「まとめる金額が高いなら銀行、返済能力に不安があるなら消費者金融」というように差別化できます。

ちなみにですが、返済能力が低いにも関わらず、高額のおまとめローンを契約してくれる貸金業者は存在しないので、その場合はそれぞれの場所で返済し、合計債務額がある程度減ってからまとめるようにしましょう。

おまとめローンで重要なのは最小返済額の増減!

「せっかく借金をまとめたのに、返済が終わったら余計にお金がかかっていた!」、おまとめローンは注意しないと、こんなケースもあります。どうしてこういうことになるのでしょうか。

おまとめローンで最も気を付けなくてはいけないのは、まとめる前に比べて金利が低くなっても、毎月の返済額が小さくなれば、返済期間が長引き、「まとめる前よりも返済総額が高くなる」ことがあるということです。

例えば、3ヵ所からの借金をおまとめローンで1つにまとめたとします。すると、新しい債務は元金が大きくなったので金利は低下します。

それだけならいいのですが、これまで3ヵ所にそれぞれ支払っていた毎月の返済額よりも、新たにまとめた借入先の毎月の返済額が小さくなると、たとえ金利が低くなっても返済総額が高くなってしまうという逆転現象が起きてしまうのです。

借り入れ先が減って安心したために起こりやすいケースで、非常に事例が多く、おまとめローンを利用する人はこれに十分気を付けなくてはいけません。なぜなら、せっかく複数の債務をまとめたというのに、金銭的に大きく損をしてしまい、何のためにまとめたのか分からなくなってしまうからです。

おまとめローンで債務を一本化したら、必ず毎月の最小返済額は、これまで返済していた分よりも多くしましょう。そうして初めて、借り換えをした意味やメリットが活きてくるのです。

債務額増加に伴う金利減少のカラクリをよく理解しよう!

たくさん借りた方がより小さい金利で利用できる、これは借り入れをする人なら誰しも知っていることですが、この言葉には巧妙なカラクリがあります。

単純な例で考えてみましょう。10万円を利率20%で借りるのと1000万円を利率2%でそれぞれ3年ほど借りるのでは、どちらが得に見えるでしょうか。金利のことをよく知らない人であれば、1000万円もの大金をわずか2%で借りることが出来る方が得だと考えるのではないでしょうか。

実際に計算してみると、10万円の方は、3年で17万2800円になります。ほぼ1.7倍となります。一方、1000万円の方は、3年で1061万2080円になります。約1.06倍です。これだけ聞くと、1000万円の方がやはり増え方は緩やかなので得に見えます。

ですが、よく考えてみると、10万円の借り入れは増える額が7万円少々なのに対して、1000万円では61万円ほど増えます。つまり、金利が小さくなっても、借り入れしている金額が大きくなれば、その金額に対して利率がかかる金利では、高額の借り入れの方が費用がかさむのです。

おまとめローンでも同じことが言えます。50万円、50万円、50万円の借金をまとめて150万円にすれば、確かに金利の利率は若干低くなるでしょう。しかし、だからと言って借金の増え方が激減したわけではなく、早々に元金を減らすように努力しないと、複利計算によって、あっという間に増えてしまうのです。

おまとめローンで損をしないためには、以前に比べて返済額がどのように変わるのかを念入りにシミュレーションする必要があります。「とりあえずまとめてしまえば得になるだろう」という安直な考えでおまとめローンに手を出すことは絶対に避けることです。毎月の返済額をどうするのか、いくらにすればどのくらいの期間で全額返済できるのか、まとめる前に比べてどの程度、費用を改善できるのかをしっかり確認しましょう。

こんな人はおまとめローンを使っちゃダメ?債務整理の有効性

多重債務を回避する方法としても有効なおまとめローンですが、中には、それ自体をしない方が良い人もいます。債務をまとめるのではなく、直ちに債務整理をした方が良い人です。

おまとめローンは、今ある借金をまとめるだけであり、額自体を減らすわけではないという前提を忘れてはいけません。

つまり、おまとめローンの利用に適していない人とは、現在の債務を返済できる見込みがない人ということになります。複数ある債務が返済できない状態で1つにまとめようとも、結局返済できない結末になるだけです。

この場合は、おまとめローンではなく、債務自体を減らすことが出来る「債務整理」を活用しましょう。収入が極端に減った人や、怪我、病気、介護、育児などの要因で現在の収入と支出のバランスが崩れ、返済の余裕がなくなった場合は、おまとめローンをする意味がありません。

債務整理はある意味借金の踏み倒しに近い形になる形式もあるため、個人の信用に大きな傷がつく場合もありますが、おまとめローンや多重債務を放置すれば、いずれ最悪な形での債務整理である自己破産になってしまう危険性が高いため、返済が無理そうだと判断したら、可能な限り迅速に、軽い処分で済む任意整理などを利用して、債務を無くすようにしましょう。

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